いきなりの実戦

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程なく、敵は後退した。 その場には撃破された戦車やなぎ倒された兵士の遺体があった。 この戦闘で中隊はT-34を21両撃破していた。 一方、こちらの被害は戦車が3両撃破され、4両が中破、小破だった。 戦死者は29名で負傷者は重軽傷者合わせて68名だった。 マイヤー少尉はその報告を受けると、こう言った。 「本部に増援と補給を要請しておけ。」 すると、マイヤー少尉はおもむろに胸ポケットからタバコを取出し、一服したのち、私にこう言った。  「どうだ、ハンス??、初めての実戦は??」 「はっ、とても恐ろしかったです。」 私が言うと、マイヤー少尉は 「そうだろ、誰だってそうだ。いいか、その恐怖を忘れるな。その恐怖を忘れると、ここでは死ぬからな。」  私は、 「少尉殿、1つ聞いてもよろしいでしょうか??」 と言った。 「なんだ、フランツ??」 とマイヤー少尉が言う。  「少尉殿、この戦線では、いつもこのような戦闘が起こっているのですか??」 と、私が尋ねると、マイヤー少尉は 「あぁ、そうだ。いつも、イワンは攻勢を仕掛けてくる。今日はまだましな方だ。」
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