赤い津波、再び…。

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昨日の戦いで、戦力を損耗した我々は、ブタペスト歩兵師団、第1大隊の残余と共に防衛指揮所が置かれているハーブスト教会の東500メートル付近に新しい防衛線を構築した。 構築と言っても、ただ瓦礫の中に機関銃を据え付けただけの陣地が4つあるだけだった。 防衛線の頼みの綱は我々の4両のティガーⅡだった。 防衛指揮所では、少ない兵力でどのように防衛線を守るのかの論議で持ちきりだった。 一番の問題は、対戦車火器の不足だった。 小火器はソ連軍の装備を奪いとったから揃っているものの、対戦車火器はまったく無い。歩兵が持っている携帯対戦車火器は、パンツァーファウストが14つとパンツァーシュレック(ドイツ版バズーカ砲)が2門で予備弾が5発で、対戦車地雷が5つだった。 これでは、あと一回分の戦闘で消耗してしまう。 小火器だけでは戦車は止められない。やはり、何かしらの重火器が必要だ。 防衛指揮所はブタペスト市庁舎に置かれた総司令部にこう打診した。  「宛、ブタペスト防衛総指揮所 送信元 ハーブスト地区防衛指揮所 我、対戦車火器及び、重火器が不足せり。至急なにかしらの重火器を送られたし。送信者マイヤー大尉」  と打診した。
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