第零章 海上のカワセミ

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「こちらフィッシャー01。目標への接近を試みる。02、バックアップ」 『ラジャー』 ゆっくりと、慎重に、目標へ近付いていく。敵艦からの牽制の射撃がすぐ右側を通過したが、すぐに味方イージス艦〈みょうこう〉からレーザーの様な機銃が敵艦のスレスレを掠めた。 「スゲッ…」 その威力に戦慄する。こちらがレーザーなら、あっちはさながら零戦の小便機銃とでも言わんばかりの歴然とした差があった。 『敵艦が距離を取り始めた。引き続き援護射撃を行う。フィッシャー各機は救助活動を開始せよ』 「了解。ミッションスタート、目標まで3マイル」 遂に始まった。救助活動中は回避行動が取れない。目標へ接近するにつれて、緊張で鼓動が早まる。後部は降下準備のために慌ただしい。 『目標まで2マイル』 「要救を目視、8名。情報より2名少ない」 事前情報では乗員は10名だった。 『2名は未だ船内に取り残されていると思われる。先にダイバーを降ろせ』 「ラジャー」 『こちらフィッシャー02、ダイバーを乗せていない。01のダイバー降下を援護する』 『目標まで1マイル』 ターゲットに接近するにつれて、無線の交信回数が増えていく。新たな情報が逐一入るためだ。
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