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暖かい春の日差しが俺の片目を刺激する。今日は俺の旅立ちの日でもあり、兄弟の死を忌む日でもある。
暗がりの路地に俺は捨てられていた。今でもそこには善意ある人間が作った兄弟の墓がある。
俺は墓に摘んできた花を添え、亡き兄弟に祈りをささげた。
あれから数年、
俺もすっかり成長し、今では三丁目の野良者の中でもかなり古株になってしまった。
『さて、帰るか…』
俺は今でもあのアジトに住んでいる。ギンが生きていたあの場所をどうしても離れることができなかった。
俺に野良者としての生き方、野良者としての誇りを教えてくれた存在…自分の家族にもそれを語り継ぐべく場所として、俺はあのアジトを選んだのだ。
俺はゆっくりと路地を抜け、アジトに向かって歩きだした。
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