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ふとハカセが口を開いた。
『なぁ、ハルよ。最近この辺り野良者が増えちゃいねえか?』
ハカセも同じことに気づいていたようだ。ハカセが今日久しぶりにアジトに帰ってきたのはその話もあるようだった。
『ヒメ、サクラを連れて少しはずしてもらえないか?』
ヒメは静かにうなずくと、サクラを連れて外へ出ていった。
『ハカセ、なぜだと思う?』
藪から棒に俺は話を切り出した。
『最近見かける野良者は、何かに怯えている様子さえ感じるんだ』
ハカセはそう言いながら、植物の選別を終え、袋に詰め始めた。
怯えている…一体何に?
キュウも昔のような荒らくれ猫ではない。人間も余程のことがない限り、俺たち野良者には手を出してこない。
『ハカセ、何かあてがあるか?』
ハカセはうつむきながら首を横に振った。
俺は妙な胸騒ぎとともに、やはり早急に三丁目をうろついている野良者を一同に会すべきだと思った。
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