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少女ひろ子、少女ひろ子はね、 「少女ひろ子は、 せんせいに恋をした」 深いため息が聞こえて、いずみせんせいのノートがわたしの頭を叩く。 「立ってなさい」 「どんまい」とひろくんが声を出さずに口だけを動かした。 ピースサインで返すわたしを呆れ顔で見たのはわたやくんだった。 控えめに開いた窓の隙間から、あたらしい夏の風が滑り込む。緑のにおい。 教室の後ろに立たされたわたしは、最高にいい気分だった。
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