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毎週水曜日の女子会。 珈琲をすすりながらホットケーキミックスの味がするケーキをお腹いっぱいむさぼる日。 ひなこちゃんは、もうすぐ飲めるマスターのすっぱい珈琲の味を思い浮かべるわたしを横目に、机にずらりと並べたリップグロスをひとつひとつ宝石の輝きを確かめるみたいに日に透かしてポーチに入れていく。 足を組みかえるひなこちゃんの太ももは、夏のさわやかな光を浴びて更に存在感を増して、男子生徒たちの視線を釘付けにする。 節目がちな視線も、エクステでいつもくるんくるんの長い睫も、控えめにつきだしたふっくらしたくちびるもぜんぶ、女子からも男子からも羨望の対象だった。 やっと立ち上がったひなこちゃんのポニーテールが揺れる。ざくろの香りがした。 「夜ちゃんお待たせ。行こ」
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