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わたしは物を捨てに来るでも肝試しをするでも、はたまたセックスがしたい訳でもないけれど、放課後にはよく旧校舎に足を運んだ。 こもれびに包まれる古びた廃屋の中で、わたしに返事をするように軋む床板の音をきいていると、なんだか叙情的な映画のヒロインにでもなった気分になれる。 現代的なものから遮断されたうつくしい空間のなかの、腐りかけた木のどことなくなつかしいにおいや、ゆがんだ窓枠で切り取られた夕暮れのそらが、わたしはたまらなくすきなのだ。
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