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階段の下からわたやくんたちのわたしを呼ぶ声がきこえる。はあい、と返した声はそこらに響いて余韻を残して空気に溶けた。 向こうの廊下にいずみせんせいが見えた。 プラチナみたいな明るい茶色の、ミルクティーの髪。さらさらと揺れて、わたしの視線をつかんで離さない。 気づけば痺れを切らしたひろくんが目の前にいて、わたしの手首を掴んで走り出す。 「いずみせんせい、さようなら」こころの中で強く思ってみた。いずみせんせいは振り向かない。わたしのテレパシーは届かない。 わたしのだいすきな旧校舎は、再来年、わたし達の卒業といっしょに取り壊される。
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