くるりら

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眩しい光がカーテンを縫って、木漏れ日のように部屋に差し込む。 微風にそって揺れるカーテンと共にまばらに差し込む日の光は少々幻想的だ。 肌寒い秋空にしてはやけに日差しが強い。 枕元に置いていたケータイを手に取り画面を見てわかった。 もう昼の2時だ。 せっかくの日曜を、僕はどうやら惰眠を貪りかなり消費したようだ。 まぁ、そんな日もある。 布団から半身を上げノビをする。 連動するように漏れた欠伸で、少しばかり体が気だるくなる。 寝過ぎた。 さて、なにをしようか。 そんな折にケータイが震えた。 バイブにしたままだったか。いや、それにしてもこんな昼間に誰だろうか。 ケータイを開いて画面を見ると、よく知った名前があった。 おや、まぁ。 僕はケータイの通話ボタンを押して耳に当てた。 『おそよう』 ふんわりした優しい声。 「ん。今起きた」 『だろうね。だって今まで何回も電話とかメールしたのに全く出なかったもん』 「へぇ~」 どうやら今回はだいぶ寝入っていたようだ。 ちなみに電話先の人はもちろん女の子。所謂、彼女。 『それだけ?』 「なにが?」 『ごめんとか、謝らないの?』 「悪いと思ってないし。ていうか起きて早々謝罪を求められると腹が立つから切るよ」 『わ、駄目。ちょ、ごめん。ごめんなさい。切らないでお願い。イライラさせてごめん。お願い、会話しよ?』 「必死だね」 『だって、朝は会話出来なかったから。あ、今から行ってもいいかな?』 「お腹空いた喉渇いたお金無い」 『じゃあ行く前になにか買っていくね。なにがいい?』 「聞くな」 『じゃあ、適当になにか買うね。30分あればそっちに着くから』 彼女というには、まぁ、結構怪しい。現状、扱い的にはパシリとかそういう類だ。でも本人が満足してるならいいのかな。 「じゃあね」 『やだ。もっと話しする』 「話題」 『主語どころか、それってまず文としてどうなの?』 「単語で通じない人と会話出来ません。じゃあ」 『通じる。通じたよ。今話題を探してるとこだからお願い待って』
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