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不思議なやり取り。これがドア越しの魔力。どんな魔力かは知らない。
「ずっと前から好きでした」
「ていう夢を」
「見てません」
ですよね。告白されてしまいましたがどうしましょうかかっこ苦笑かっことじるまる。
「具体的にはいつぐらいから」
「一週間前です」
ずっと前という言葉について論議する必要性がありそうだ。
「我が社を選んだ理由は?」
「はい、多種多様な業種を扱うところに胸をうたれました。それに何より社員の対応がとても親切で、私も同じようになりたいと思いました」
「乗るのね」
「はい☆」
最近のストーカーはノリがいいのだろうか。家に侵入するのもノリだったり。突撃自宅のあなたみたいな。
やだなぁ。
「お名前は」
「白木七海です」
知らんな。全く知らない。ビックリするほど知らない。
「兵藤楼希です」
「知ってます。だって好きですから」
「どきっ。なにこの心臓の高鳴り」
「恋ですね」
「恐怖です」
馬鹿言うなよ。恋っていうか変だよ。君が。
「先輩に恐れられてる……。つまり今先輩は私に縛られている!」
恐怖でね。
「すいません、涎が」
なんで?
なんで涎が出るの?
どこに興奮したのこの娘。
「こぼしちゃ駄目だよ? 僕の家なんだから」
「先輩の家……。涎をこすりつけるのはありですか?」
「駄目だよ。フローリング張り替えなきゃ駄目じゃん」
幾らかかると思ってるの。僕も知らないけど。きっと高いよ。木材とか資源不足の現代をなめちゃいけないよ。
「え?」
「え?」
「先輩結婚しましょう」
最近のストーカーってみんなこうなのかな。ストーカーして自宅に突撃して結婚してくださいって。電撃結婚ってレベルじゃない。
「ストーカーからで」
「してます」
「OH」
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