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『ありがとうございましたー』
甘ったるい声でお客さんを見送る。
『エリさん、待機です』
黒服の指示に返事をし、部屋に戻る。
(不景気で暇だなぁー。)
いや、不景気のせいじゃないよね。
自分でわかっていた。
この仕事が向いていないことぐらい。
何年やっても指名が増えない。
特別可愛いわけじゃないけど。
可愛いだけじゃNo.1になれないし、実際、ナンバー入ってる子は普通の子だった。
何が足らないんだろ。
その場は盛り上がっても、本当その場だけ。
ボーイさん、パネル操作してんのかな。
そんな人のせいにも思ってしまう。
でも。
(私、魅力ないんだな。)
最後はそう思った。
最近プライベートもうまくいってなかった。
好きだなって思う人に出会えていなかった。
なんか、毎日つまんない。
今の私には不安しかなかった。
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