罪の遺産

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目の前にある光景に目を背いてはいけない それは護られるものの使命だ 赤い… 赤い色だけ 俺が覚えているのはそれだけだ 朱色に染まった銀色の髪から固まった血の粉を振り落としながら 俺は前しか見ずに歩んでいく 周りの声など聞こえない 周りのことなど見えやしない 見えるのは愛しい人の面影 何をしたいかと聞かれれば そんなことはわからないと答えるだろうか もうこの世界は狂ってしまったんだ 救い人を求めているんだ 俺はまだやれる… 血で鈍く光る刀を引きずって 俺は目的を果たさなければと鼓舞する 早く早く果たさないと あいつの笑った顔が見たい きっと俺は狂ってしまったんだ でなければ こんなに笑ったりしない
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