罪の遺産

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耳に響く音が辺りを轟かせた その音の正体がなんなのか すぐにわかった 「…土方?」 土方の上半身が少し後ろにのけ反ったとおもうと 前に倒れこんだ その様子はまるでスローに見えたのは 俺の目が支障をきたしたせいだったか そんなことを想う余裕など俺にはなかった 土方が撃たれていた 先ほどの音は銃声で 弾丸は腕や足などという場所ではなく 致命的な胸を貫通していた 「…ック」 血飛沫をあげ その身体は俺の身体の正面へと倒れ 俺はやっとのことで 土方を受け止めた キャァァア!! 若い女性がけたたましい声で嘆いた 辺り一体もこの状況に気付いたらしく 救急車!! などと叫ぶ声が聞こえる ッチ 遠くで男の舌打ちをするのが聞き取れた そいつは物陰から見ることができ 手には人一人殺すには十分な大きさの拳銃が握られていた あいつだ! 沸々と殺意が込み上げ 奴を逃がさまいと駆け出したところを 引きとめられた 「行くな… 銀時」 土方が肩を掴んで そう言った
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