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襖の前に来て、襖に手を掛けた時、侑は声をかけた。
「私を殺しに来たのか?それとも、攫いに来たのか?」
「殺さねぇよ?攫いたいのは山々だけどな。」
襖を開ける直前に声を掛けられるのも、気配を悟られるのも予想していた。
そして、言われる事も、大体予想できていた。
聞かれることも。
青く長い髪を、一つに束ね、日に焼けた肌。
鍛えられた体はとても逞しい。
腰には刀ではなく銃を差し、いつも、挑戦的な笑みを浮かべている鬼の男。
私の婚約者だと、言っている。
この男には知らないといっていたが、本当は、その話は知っていた。
父に許婚の話は聞いていたし名も聞いていた。
この男だというのは、戦場で会って初めて知ったが・・・・・・。
襖を開け、不知火匡は、侑の所に近寄っていく。
侑は、この男は、自分を殺さないと知っているから、拒絶の雰囲気は出さなかった。
不知火ともそれを分かっていて、侑に近づき、髪を束ねている紐を解いた。
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