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左頬と左肩には、原田の髪や、頬、そして、乗せられた顎の感触。
胸や、お腹、右肩には強く抱きしめる逞しい原田の二の腕と、ぎゅっと掴む大きな手。
そして、背中には、原田の厚い胸板や、鍛えられた腹筋。
そして、生きている証の鼓動が伝わってきた。
「どうした?」
「不安になった。」
「え?」
この空間で、原田に不安を与える要素は無いと侑は思っていた。
悩んでいる事も、迷っている事も、表情や態度に出さないようにしてるし、口にもしていないから、原田は知らないはずだし・・・・・・。
自分は、今、鳥に近寄ろうとしただけだ。
逃げ出す事も、避けることもしていない・・・・・・。
一体、どうして・・・・・・。
それとも、何か、原田にあるのだろうか・・・・・・。
命の危機が迫っているとか・・・・・・?
いや、まさかな。
戦場で命のやり取りしてる人間が、そして、原田が、そうして怯える事は、無いと思う。
じゃあ、一体、何なんだろうか。
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