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侑は、そう不思議に思っていた。
侑は、自分が悩んでいるところを、原田に見られているとは思っていなかった。
だから、そう思うのだった。
「侑。お前、俺に・・・・・・俺たちに、何も言わないで、消えたりしないよな・・・・・・?」
「・・・・・・。」
ドキッとした。
心の中を読まれたのかと一瞬思った。
迷っている事、自分のなそうとしている事、そして、自分の事情が、ばれそうになる時・・・・・・こっそり、姿を消そうと、ずっと思っていた。
そして、それは、今も無い訳ではない上、それを実行しようかどうかも迷っていた・・・・・・。
左の耳元で言われた原田の言葉。
その声は、疑いを持ち、警戒をしている声ではなく、大切な何かを失ってしまう恐ろしさを抱え、縋るような思いの含まれた声だった。
侑は、黙ってしまった事を、後悔した。
ここは、すぐに、そんな事はしないと言うべきだった。
そうしておいたほうが、消えるときも、きっと、見張りなど居なくなり、しやすくなるのに・・・・・・。
そして、この沈黙から、原田は、さらに不安が募った。
そして、今まで以上に、腕に力を籠めた。
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