救われた少年

2/4
47人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「あら、目が覚めた?」 俺が目を覚ますと、俺の寝てたすぐ隣にあの少女が座っていた。 「悪い…水、貰えるか?」 「あぁ、ちょっと待ってて。」 少女は立ち上がり、縁側の方に出て行った。 俺は体を起こした。 外を眺めると時間は夜。 空には三日月が浮かんでいた。 心地の良い涼しい風。 気分が落ち着く。 「もう起きて大丈夫なの?」 少女が戻ってきた。 片手に水の入ったコップを持って。 「起きる分にはもう大丈夫だ。多分、歩くのも・・・あぁ、ありがとう。」 少女からコップを受け取り、一口飲んだ。 「そういえば、自己紹介がまだだったわね。 私は博麗 霊夢。この博麗神社で巫女をやってるわ。  あなたの名前は?」 「・・・分からない。」 「えっ!?」 自分の名前が分からない。 けどそれ以上にもっと重い事があった。 「それじゃ、何処から来たとかは?」 「・・・分からない。」 「知り合いとかは?」 「・・・分からない。」 「それじゃ・・・好きな食べ物は?」 「・・・分からない。」 部屋に静寂が訪れる。 酷い物だ。 ここまで分からない続きとは。 「・・・すまない。」 「いやいや、良いわ。」 「名前は愚か・・・過去の記憶がない。」 「本当なの?」 「あぁ・・・。」 「記憶喪失かしら・・・? プライベートな事が分からないようね。」 「・・・すまない。」 「謝る事無いわよ。じゃ、決めましょう。」 「何を?」
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!