41人が本棚に入れています
本棚に追加
俺がコイツのことを悠莉と呼ぶには理由がある。
一度名前で呼ばなかっただけで涙目、それを見たもう1人が騒ぎ始めてたまったモンじゃねェ……。
だから、仕方なく! 不本意だけども! 名前で呼ぶことになった……っつーワケ。
「うるせェな、でけー声で騒ぐんじゃねェよ」
「アンタはまた悠莉にそんな口きいて!!」
もう1人俺の周りに増えた奴。音原。
五月蝿い。五月蝿い。とにかく五月蝿い。
バイクの排気音以外の騒音は俺は嫌いだ。
そして何故かコイツだけはやけに俺につっかかってくる。女は殴れねェし……。
情けねェとか思うんじゃねェぞ?こっちにも事情ってモンがあんだよ。
「口うるさいババァめ……」
「テメーッ!! 今ババァって言ったな!? 言っただろ!?」
「知らん」
きっと心の声が聞こえてしまったに違いねェな。
「ふんふん……。へぇ~……。……えぇ~っ!?」
(今度は何なんだ……)
叫び声をあげた方を見ると、俺の成績表を見てワナワナと震える悠莉がいた。
ってか、いつの間に取りやがった……。
「どうしたの、悠莉? あまりの酷さに驚いた?」
悠莉の手元の成績表を音原が覗き込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!