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「残ってンのはテメェだけだぞ」
「クッ…………チクショォォ!!」
自棄になったのか、俺に向かって真っ直ぐ突っ込んできた。
「ハァ……。散れ」
それは俺がそいつに向かって言った最後の言葉だった。
真っ直ぐだが、スピードのある拳が目の前まで迫ってくる。
当たればダメージはそれなりのものだろう。…………当たれば。
少し体を右にずらし、俺も拳を構え、放つ。
勢い余って俺の左を通り過ぎようとした顔の側面を捉えた。
手に残った骨を砕く感触。
そのまま転がり、人が川に落ちる音。
ほんの15分程の小さな小さな争いに終止符がうたれた。
「……クソッたれが」
そう呟いた。
「……終わったな」
「流石ッス、総長!!」
あちこちから俺に向けての言葉が発せられる。
「……帰ンぞ。今日はいきなり呼び出して悪かったな」
「そんなことないッスよ!!」
「いつでも呼んで下さい!!」
俺の言葉を聞くとメンバーは散り散りになっていった。
「……俺らも帰ろうか」
「……あァ」
いくら暴れても、俺の中にあるモヤモヤが晴れることはなかった。
来たときと同じようにして、俺たち4人は帰路についた。
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