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先生が一番最初の人(裕人君なんだけど)の名前を呼ぼうとした時、また教室の扉が開いた。
そこに立っているのは先生ではなく、裕人君だった。
Yシャツ姿で立っている。アクセサリーもいつもと変わらない。
でも、いつもと違う所があった。
「あ、赤城……。何だ、その格好は……?」
流石に生徒だけでなく、先生までも動揺している。
私と凪を除いてだけど……。
「あ……? 何だってイイだろォが……」
先生の問いかけに答えず、自分の席まで行く裕人君。
「アンタねぇ、何したかってのは聞かないけど、その格好は何とかならないワケ?」
「うるせェよ」
どうやら何も言ってくれそうにはない。
「まったく……。どうやったらそんなに返り血を浴びるんだか……」
ヤレヤレ……といった感じに凪は呆れているが、皆が驚く理由がコレ。Yシャツを赤い斑点で染め上げている血。
血とは言っても、裕人君に傷が見えないので、怪我はしていないようだ。
「裕人君、何したの?」
裕人君は、ハァ……とため息をついて、渋々といった感じで答えてくれた。
「何もしてねェよ。殴りかかってきた奴を返り討ちにしただけだっての」
サラッと危ないことを言うんだね……。
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