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裕人君からすれば当たり前のようなことも、私たちからすれば異常そのものである。
「……やりすぎはよくないよ?」
「……知るか。俺に牙を向けた奴が悪ィンだよ」
そんな感じに、クラスのざわつきは治まらないままLHRの時間が過ぎていった。
時は進んで放課後。全ての生徒が長い休みと多くの宿題を与えられ、教室から去っていく。
もちろん、私たちも例外ではない。
「悠莉、帰るよ」
「凪は今日は部活ないの?」
「今日はないんだよ。だから、一緒に帰ろ?」
「うん。あ、裕人君も」
裕人君は無言で立ち上がり、私たちの後をついてくる。
昇降口で上靴から履き替え、校舎を出る。
校門の所に1人の人影。この学校内で裕人君の数少ない友達で、理解者の1人でもある龍君が立っていた。
ゴン
「いったぁ~……。何すんのさ~……」
「何となくムカついたンだよ」
理不尽な……。何もしてないのに裕人君が私の頭に拳骨をしてきた。
龍君も私たちに気づき、こちらへと歩み寄ってきた。
「……相変わらず仲がいいんだな」
「テメェは黙ってろ」
裕人君はこんな口のきき方をしてるけど、この2人はとても仲がいいことを私は知っている。
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