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あの日はいつもより激しい雨だった…
傘も持たないオレは一人寂しく夜の街を宛もなく歩いてた…
見上げた空から理由なく降り続く雨…
今のオレにはちょうどいい…
理由を無くした忘れられない一日だから…
ちょうど5時間前オレには彼女のアユと、この街の小さなレストランで晩飯を食べながら話をしていた…
予告無しの別れ話だった…
アユ『私達もう終わりにしよ』
さっと流す感じに切り出した
翼『え?』
アユ『あたし他に好きな人出来たんだ』
翼『何言ってるんだよ…悪い冗談だろ』
動揺しながら言った
アユ『なんかあなたといてもはっきり言ってつまんないの』
翼『なんだよ…それわけわかんねーし』
アユ『だからお願い…別れて…』
翼『……そっかぁ…わかった…んじゃ金払っとくから…』
アユ『…ゴメンナサイ…』
小さな声で呟く
店を出て少し歩いた
数分後雨がちらつき始めた…
通りすがりの子供『ママ。雨降って来たよ』
通りすがりのママ『あらほんと。じゃあ急いで帰ろうね』
通りすがりの子供『今日の晩飯何~?』
通りすがりのママ『今日はゴーヤチャンプルよ』
通りすがりの子供『…ヤダ…苦くてマズイもん』
小さく呟く
通りすがりのママ『どうしたの?お腹痛いの?』
通りすがりの子供『ん~ん。なんでもない。ユキは元気だよ。晩飯楽しみ』
通りすがりのママ『じゃあママ今日はがんばるぞ』
笑い声と共に遠ざかる親子を背に歩いてた…
目には涙を浮かべ…
たどり着いた先には二人でよく居た公園…
今は一人淋しくベンチでふさぎ込み誰もいない公園で泣いていた…
子供ように…
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