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磨いたグラスを置き、蜜柑の方を向く。
「それなんかの映画か?B級のSFとかファンタジー系のやつにありそうだ。」
「あぁ確かに…マスター、そんな惑星があるなら今の世間にその話題がないのはおかしいな。」
作り話かよ、と二人は笑い、マスターに酒を頼んだ。
いつものですか?と林檎と蜜柑がよく飲むブルーローズという透き通った青いカクテルと日本酒ロックを出した。
「信じる信じないは聞く人次第…信じてみた方が面白くないですか?」
つまみにチーズを二人に出し、微笑んだ。
「…マスターは信じてる?」
「………さぁ?どうでしょうかね。」
尚も表情を崩さないマスターから目を放すことが出来ずに、二人はただただ見つめた。
マスターが今までこういった夢物語を語るなんて事は一度もなかった。だからこそ二人は妙な気持ちになり、それ以上言葉を紡ぐことが出来なかったのだ。
マスターはふと壁にかかっている時計に目をやり、もうこんな時間ですね、と呟いた。
「あ、あぁ。帰るか蜜柑、明日朝早いんだろ?マスター、ここに金置いてくからな。」
「また来るね。」
二人はそう言って『Heven's』を後にした。
「信じる信じないはあなたたち次第なのです。」
マスターは誰に話してる訳でもなくただ静かに呟いた。
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