時の歯車

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都内の道を走る一台の車。前方には夥しい数の赤い光。 蜜柑は舌打ちをして小路に入り迂回した。 「ったく、今日はやけに混んでるな。しかーし!2トントラックをナメるな!こんな細道関係ない!!」 蜜柑は納品を全て終え、会社に帰る途中であった。巧みにハンドルを捌き、乗用車一台分より少し広い道を走っていた。 ここは見通しもよく、人が現れるものならすぐにブレーキを踏める状態だった。 しかし、どこからともなく現れた赤い服の少女が交差点に居た。 気付いた瞬間、蜜柑は思い切りブレーキを踏んだ。 「―――っぶね!」 数センチ。あと少しで引いていたと、冷や汗を感じながら降りると少女はすでにいなかった。 辺りを見回してみても赤い服の少女はどこにもいなかった。 「林檎とマスターのせいだ…きっとマスターが変な事を昨日話すし、林檎はよく頭を殴るからバカになってしまったんだ。」 それから蜜柑は辺りを必要以上にキョロキョロしながら会社まで帰った。
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