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二人はリゼに連れられ、再び森の中まで来ていた。
リゼは二人にリュックを渡す。
「もうわかるだろ?前回より早く帰ってこれなきゃ夕飯はぬきだからね。」
そう言い、颯爽とその場から姿を無くした。
残された二人は顔を見合わせニヤリと笑う。林檎は髪を後ろできつく縛り、蜜柑は両腕、両脚の裾を捲った。
「今回はヘマすんなよ。また担いで帰るのはもう勘弁だ。」
「はっ。林檎こそ猪に見付かるなよ。お前だったら撒けないからな。」
そう言う二人は、顔を前に向き直り同じタイミングで走り出した。
前回とルートが違うのか、岩場が少なく、生い茂る草木が目線の高さまである。
さらには目では確認しずらいが小川も所々にあるらしく、思ったように走れなかった。
二人の距離はやはり付かず離れず。同じ距離を走っていた。
「鬱陶しい草だなっ!前があんまり見えねぇじゃねぇか!!」
林檎より背が小さい蜜柑は行く手を阻む草が邪魔でしょうがなかった。
「チビスケっ!前が見えねぇならオレについてくるんだな!!」
「なっ!!ムキーーー!!うるせぇぞ毒林檎!てめぇこそおれの後追っ掛けてきやがれってんだ!」
林檎の挑発をまともに貰った蜜柑は意地になってつま先立ちで走った。
――――昼過ぎ、その頃リゼは
「さぁて、あいつらは何時に帰ってこれるやら。」
ハンモックに揺られながらうたた寝をしていた。
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