迷子のシャーロット

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 シャロとは略称であり正式にはシャーロットだが、自分ですら言いづらいため他人には『シャロ』と名乗っている。  今や『シャーロット』と読んでいるのはウェナムだけだ。 「たくもー。 二人とも迷子になっちゃって焦ったんだからね?」  シャロのその一言で、クリセロウの表情が急に変わった。 「……(リトマス試験紙みたいなのです)」  ウェナムがボソッと言ったが、この近距離でもクリセロウに聞こえていない。 「あぁ?」 「クロちゃんコワイ……」  シャロは自分に歩み寄るクリセロウを見て、無意識に後ずさっていた。 「シャロ? いや、シャーロット?」  余談だが、クリセロウがキレる寸前になると略称ではなく正式名称で呼ぶ。  そう、まさに今のように。 「だぁーれが迷子になったってぇ?」 「クロちゃんのその意味がありそうな笑いがコワイ……」  クリセロウは背負っていた【レア度★★】の弓矢、ユーザーボウを下ろした。 「迷子になったのはお前だろうがあぁぁあ!!!」  そして──ユーザーボウの江尻でシャロの腹を突いた。 「ヒドイ!!!」
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