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呼び出し音が鳴り続く。さゆみは電話に出なかった。
彼女の性格を大方理解していたつもりだったので意外に思った海斗は電話を切った。
すぐ雪江に折り返す。
寝汗が気持ち悪くて、どうしても耐えられずTシャツを脱いだ。
贅肉のない綺麗な上半身は、変異種と戦う為に鍛えられていた。本人は特になにもしていないらしい。
着替えようとベッドから立ち上がった時に雪江と電話が繋がった。
『どうだった?』
「繋がらない」
『そう。アンタなら出ると思ったんだけど』
「数日しか話したことのない奴だろうに」
『言うわね。まぁ良いわ。海斗、出掛ける準備しなさい』
「は? 何で」
『説明は後。五分で行くわ』
「今どこだ?」
『支部。さっさと支度しなさい』
電話を切ったのはいいが、支部から海斗の自宅まで車なら十分ほどかかる。運が悪く信号に引っ掛かり続けるなら十五分。
それを五分と言っていた。
「……また支部長権力でスピード違反か」
職権乱用を駆使するということは厄介事しかないと確信し、深い溜め息を漏らしてジーンズに手を伸ばした。
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