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五分後。自宅前に一台のスポーツカーが急ブレーキで停車した。
運転席の窓が開いた先に、真剣な眼差しの雪江が座っていた。助手席には時子もいる。
「乗りなさい」
促されるまま後部座席に座った直後、車は急発進して少し驚いた。
「おい!」
「まず座りなさいよ。事情話すから」
言われるがまま後部座席に席を下ろした。
「事情を説明しろ」
「美々原さゆみが誘拐された」
「は?」
「連絡がとれない。時子からもアンタからの電話もに出ない。監視させてる奴に聞いても曖昧だし、多分昨日の隙を突かれた」
「いや、ちょっと待て」
「やっぱり監視は二人一組にさせるべきだったわね。やっぱり“あっち”からも応援を貰っとくべきね……。それにしても、本部の奴らもとことんムカつくわ。あんな馬鹿共を野放ししとくなんて信じられない」
「待て待て待て待て。話がまったくわからない。誘拐された? は?」
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