1章 黄昏に佇むは、

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 所詮、人間がどんなに拠り集まろうとも、捕食者にとっては食べ放題(バイキング)と同義であり、追求に熱心な反面、肝心な警戒心の薄れた彼らは【捕食者】にとっては格好の獲物だった。  それとなしに忠告はしたのだけど、彼らはやはり取りつく島もなくて、そうこうする内に、遂に捜査する彼らの一人が犠牲となった。  私は、盛大に臍を噛んだ。  もちろん、ろくに動こうともしない人間と、勝手を働く現代怪異両方共にである。  現代怪異は、簡単に捕食できる獲物に味をしめたようだった。  人間は非人為的な惨状を見ても、その犯人が怪異とは頑なに認めなかった。   迷走する人間を嘲笑うように、我が物顔で猛威を奮い出した現代怪異(ワカモノ)…いや、馬鹿者共に、私は今度こそキレた。  【管理人】として、これ以上の進軍を許す訳にはいかないからだ。  どの次元(セカイ)にも『均衡』があり、今それが現代怪異の跋扈により崩されようとしている。 「低俗低級怪異め…巫山戯るのも大概にしろ。これだから今時の若いヤツは、行儀が悪くて嫌いだ。 ここまでお戯(いた)をされるとは思わなかったけれど、悪い子には罰を与えなくちゃ、ね」  咎める存在を匂わせなければ、好き勝手に増殖して大事な『装置』を破壊しようとする害虫のような現代怪異。  どうしようもなく苛立たしく、劣悪なバカ者ども。 「首を洗って待っていろ、下種共…!」    これ以上の暴挙は決して、決して許さない。  長期間の観察を終えた【管理人(キーパー)】旧き闇の賢者は、野放しの現代怪異を狩るべく宵闇に溶けていった。   ―――さあ、久々の“食事”をしようじゃないか…。
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