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しばらく経って夕方になった。辺りはすっかり赤色に染まり、きれいな空が見えた。
慎太郎「あっ、龍馬さん!たいへんっす!姉さんが…」
龍馬「うるさいじゃが。ほれ。」
あやめ「……」
そ~っと龍馬さんの後ろから顔を出す。
慎太郎「姉さん!もう、ダメじゃないっすか!ちゃんと寝てないと……!」
あやめ「…ごめんね。」
龍馬「あやめはちっと散歩に行っただけじゃき。な。」
あやめ「…」
こくんと龍馬さんの問いかけに頷く。
慎太郎「とにかく、飯食ったら寝ててくださいね!」
あやめ「うん。」
それから武市さんと以蔵にも謝って、ご飯を食べた。
龍馬さんが散歩だといってくれたおかげでそこまでは追求されなかった。
そして夜。
寝る準備をしていたら襖の向こうから声がした。
龍馬「…あやめ、起きちょるかの。」
龍馬さん。
あやめ「起きてますよ。どうしたんですか。」
龍馬「いや…月でも見んか。」
あやめ「……ハイ。」
スッと襖を開けると龍馬さんは縁側から空を仰いでいた。そのとなりに私は腰かける。
…………
虫の声しか聞こえない、静かな夜。
龍馬「……」
あやめ「……綺麗ですね。」
龍馬「あぁ……」
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