―第二話―

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あやめ「…さて、と。」 準備完了。 あやめ「みんな、晩御飯食べよ。」 バタバタと騒いでいるみんなに一声掛けて自分の席にさっさと座る。 龍馬「おっ、今晩は武市の味噌汁か。」 慎太郎「玉ねぎ入ってるっすか?!」 半平太「入っているよ。豆腐も、それに、人参もな。」 以蔵「!!」 以蔵の顔が真っ青になった。 フフっ。武市さんったら、本当に意地悪なんだから。 以蔵「し、慎太?味噌汁なんだが…。お前の秋刀魚と変えてくれないか?」 慎太郎「いやっす。」 以蔵「!お、お前…っ。」 半平太「以蔵。………食え。」 うわっ、武市さん怖い……。あんなの滅多に見ない。 以蔵、人参嫌いだもんね……。 以蔵「先生、どうか、どうか人参だけはご勘弁下さい…」 半平太「ならん。武士が好き嫌いなどしていいと思うのか。…食え。」 武市さんはきっと、以蔵の偏食を直したいんだろうけど…… 以蔵、顔が死んでる。か、かわいそう…… 龍馬「まぁ、武市。その辺にしちゃり。食えんもんを無理に食わすのは良くないきに。」 龍馬さんが見かねたように武市さんの制止に入った。 半平太「龍馬!以蔵を甘やかさないでくれないか。人参ひとつ食えないで、武士が務まるか。」 龍馬「人参が食えんでも、生きていけるきぃ。おまんだって食えんものくらいあるだろうに。」 半平太「ない。」 龍馬「いやぁ、ある。わしゃ知っとるぞ。例えば…」 半平太「無いと言っているだろう!///」 そういってるけど、武市さん顔真っ赤だ。 あやめ「フフフッ、武市さんも、龍馬さんもその辺にしてご飯食べましょう?」 半平太「あやめさんまで…。」 龍馬「ほれ、あやめじゃってそう言っちょるんじゃ。勘弁しちゃり。」 半平太「うるさい!大体そうやってお前が甘やかすから、あの夜みたいになるんじゃないか!?」 …………!!! 慎太郎「武市さん!」 半平太「っ!」 慎ちゃんが一喝して、みんな静まり返る。武市さんがすごく気まずそうな顔をして、私の顔を覗いてくる。 あやめ「……私、は大丈夫ですよ?以蔵、お味噌汁なら、私が飲むから。ほら、秋刀魚。」 以蔵「あ、あぁ…。」 私は以蔵と交換した味噌汁を一気に飲んで、 あやめ「…ご、ごちそうさまでした。あとは片付けておくので、そのまま置いておいてください。……失礼します。」 部屋をそそくさと出た。
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