―第三話―

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以蔵「龍馬、あやめを知らないか?」 廊下の向こうから以蔵が歩いてきた。 龍馬「なんじゃ、おんしもあやめを探しとるき?」 以蔵「いないのか。」 龍馬「少なくとも藩邸にはおらんな。」 さっきからずっと探した。間違いない。 以蔵「ったく。あいつは約束まで忘れちまうのか。」 龍馬「?なんか、約束しとったんか。」 以蔵「いや、剣の稽古を久々にしたいと言うから、付き合うと言ったんだが、来ないんだ。」 龍馬「あやめが約束をすっぽかしたぁ?」 信じれん。 あやめは人一倍義理堅い娘じゃ。人との約束を忘れるなんて…… それに、ぼーるぺんも落としちょった……。 以蔵「どうした、なにか気になるのか。」 龍馬「あやめがしない行動ばっかりが続いちょる。……おかしいのー。」 以蔵「………」 頭を悩ませていると、慎太郎が帰ってきた。 慎太郎「珍しいっすね。悩みごとっすか?」 以蔵「いや、こいつが気にしすぎなんだ。気にするな。」 慎太郎「ふーん…。あ!そういえば、姉さん知りません?町にもいなかったようですけど……」 龍馬「町におらんじゃと?ここにもおらんのに…」 以蔵「どこにいるんだ、あのバカは…」 半平太「三人でどんな顔をしているんだ。情けない。」
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