143人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
龍馬「武市!あやめを見んかったか?藩邸にも町にもおらんのじゃ。」
武市が知っていなければ、いよいよ大事に……
半平太「……いや、知らない。」
龍馬「武市!本当に知らんのか?!」
半平太「?どうした、あやめさんに何かあったのか。」
あやめが誰にも何も言わずに消えるなんてあり得んっ!
藩邸を飛び出そうとしたところを以蔵に止められる。
龍馬「は、離せ!あやめに何かあったらどうするんじゃ!」
以蔵「落ち着け!まだそうと決まった訳じゃないだろう!!」
慎太郎「姉さんが行方不明なんっすよ。」
半平太「町は?」
慎太郎「見ました。」
半平太「……これは一大事かもな。」
………!!!?
今、武市は何と…!?
龍馬「それはどういうことじゃ。」
半平太「…昨日町を歩いて気づいたが、浪人が増えていた。」
以蔵「先生、それはどういう……?」
皆、武市の話に聞き入っていた。
半平太「浪人が増えた、ということは、治安が悪化したという証拠。」
!!!
半平太「……なにか事件に巻き込まれたのかもしれないが、まだわからない。日没まで待つべきだ。」
あやめが、拐われたかもしれん…。
あやめが、危険な目に……!!
半平太「とにかく、広間で…」
龍馬「わしゃあ、探しに行く!」
慎&以「!!」
慎太郎「だ、ダメっす!!今でも俺たち危険なんっす!」
龍馬「あやめはもっと危険な目に遭っちょるかもしれんのに、じっとなんかしちょれん!!!」
以蔵「龍馬……!」
半平太「龍馬!!!」
武市の怒声に足を止める。
半平太「…お前が取り乱してどうする。あくまで可能性の話だ。今は、我慢してくれ。…頼む。」
龍馬「……」
半平太「…俺だって行きたいが、今は待つのが懸命だ。」
くっ………そ……!!
ダンッ!!
握りしめた拳を壁にぶつける。そこから滲み出る、血。
慎太郎「龍馬さん…」
待つしかできん……!
あやめ、どうか…
どうか、無事でいてくれ――…!!
最初のコメントを投稿しよう!