―第三話―

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龍馬「武市!あやめを見んかったか?藩邸にも町にもおらんのじゃ。」 武市が知っていなければ、いよいよ大事に…… 半平太「……いや、知らない。」 龍馬「武市!本当に知らんのか?!」 半平太「?どうした、あやめさんに何かあったのか。」 あやめが誰にも何も言わずに消えるなんてあり得んっ! 藩邸を飛び出そうとしたところを以蔵に止められる。 龍馬「は、離せ!あやめに何かあったらどうするんじゃ!」 以蔵「落ち着け!まだそうと決まった訳じゃないだろう!!」 慎太郎「姉さんが行方不明なんっすよ。」 半平太「町は?」 慎太郎「見ました。」 半平太「……これは一大事かもな。」 ………!!!? 今、武市は何と…!? 龍馬「それはどういうことじゃ。」 半平太「…昨日町を歩いて気づいたが、浪人が増えていた。」 以蔵「先生、それはどういう……?」 皆、武市の話に聞き入っていた。 半平太「浪人が増えた、ということは、治安が悪化したという証拠。」 !!! 半平太「……なにか事件に巻き込まれたのかもしれないが、まだわからない。日没まで待つべきだ。」 あやめが、拐われたかもしれん…。 あやめが、危険な目に……!! 半平太「とにかく、広間で…」 龍馬「わしゃあ、探しに行く!」 慎&以「!!」 慎太郎「だ、ダメっす!!今でも俺たち危険なんっす!」 龍馬「あやめはもっと危険な目に遭っちょるかもしれんのに、じっとなんかしちょれん!!!」 以蔵「龍馬……!」 半平太「龍馬!!!」 武市の怒声に足を止める。 半平太「…お前が取り乱してどうする。あくまで可能性の話だ。今は、我慢してくれ。…頼む。」 龍馬「……」 半平太「…俺だって行きたいが、今は待つのが懸命だ。」 くっ………そ……!! ダンッ!! 握りしめた拳を壁にぶつける。そこから滲み出る、血。 慎太郎「龍馬さん…」 待つしかできん……! あやめ、どうか… どうか、無事でいてくれ――…!!
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