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それでも花梨はぎゃあぎゃあ騒いで一種のパニックになっている。
…男に慣れてないのか。
「いいから服を着て下さいいいいい!!」
「はいはい」
花梨は俺が身支度を全て済ませたかどうか確認し、姿勢を整えて向き直った。
「先程はすみません…。つい取り乱してしまって…。わたし、今日から専属メイドとして、和政様のお世話を担当させていただきます花梨と申します。未熟者ですがお見知りおきを」
「…ああ、よろしく」
「掃除、洗濯、御主人様がお望みならば下のお世話も致しますので何でもおっしゃってください」
(男の裸見ただけで騒ぐやつがどうして下の世話出来るんだよ…)
そうは思うが、にっこりと愛想良く笑う花梨はとても可愛らしい。雰囲気も柔らかくて親しみやすそうだ。
朝食が用意されているそうなのでダイニングルームに案内される。
テーブルにはもう遥が座って待っていた。花梨に椅子を引かれ、そこに腰掛ける。
「おはよう、和政さん」
「…おはようございます」
「良く眠れたかしら?」
「や、あんまり」
「そうよねえ、昨晩は大変だったみたいだから…」
朝からそういう話をするな。ただでさえ気分は落ちてるのに更に惨めな気持ちになってくる。とりあえず軽く笑ってごまかしておいた。
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