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…ここ、客室っぽいしいいよな。吸っても。
「本題に入らせてもらっても?」
「ああ」
「では、この椎名屋敷のことから」
すると、扉からこんこんとノックの音と共にメイドが一人、紅茶セットを揃えてやってきた。
びくびくとした頼りなさそうなメイドだ。ただし中々綺麗な顔をしている。
「あ…お話し中失礼します…。お客様にお茶を…」
「お客様じゃないわ。この方は今日からこの椎名家の主人よ。昨日伝えておいたでしょう」
「え!!?…もっ申し訳ありません!わ、私…」
おどおどしてる姿が正直可愛い…と思う。今まで相手にしてきた女とタイプが違ってて新鮮だ。
一見頼りなさそうに見えるとは思ったが、慌てながらも紅茶を煎れる手順はテキパキとしている。人は見かけに寄らないんだな。
女はそのメイドに側で控えているように命じ、紅茶を口にした。
「話を戻すわ。和政さん。この屋敷にはね、代々伝わってきた由緒正しい神聖な儀式があるの」
「儀式?」
「ええ」
そう言うと女は立ち上がり、ある本棚から古い箱を持ち出した。
「この家に生まれる女は、主人となる男に純潔を捧げるっていう儀式」
「……………………は?」
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