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それにしても、ビタミン剤なんか飲んでたのか。ビタミン剤が悪いとは言わないが、やっぱりきちんとした食事を摂った方がいいに決まってる。
「ああ、そうそう」
「?」
「もう少しで元当主の部屋が片付づくので、和政さんはそこを自室として使って下さいな」
「部屋…って、じゃあ今の部屋は」
「あれは一時的に。屋敷の主人があんな小さい部屋で暮らすなんてありえないでしょう?」
…充分広かったと思うが。
あれ以上のスペースがあっても無駄な気がする。むしろ落ち着いてられないんじゃないだろうか。
と、考えながら食事を進めている内に遥がはっとしたような顔をして立ち上がった。
「あらあらごめんなさい和政さん。私、気を使わなければならなかったかしら。海夜と同じ部屋の方が、、、」
「そんな気は使わなくていい」
「そう?今からやることがあるからこれで失礼するわね。では、ごゆっくり召し上がって」
丁寧に礼をし、微かな物音も録に立てず、遥はダイニングルームを出て行った。
「なあ」
「?はい」
「…何で、前当主は居ないんだ?遥さんの兄だっていうなら、まだ若いだろう」
「ああ…それなら…ええと…確か、2年前に失踪してしまわれたんです」
「失踪?」
「はい。わたしも丁度2年前にこのお仕事に就かせて頂いたので詳しいことはあまり…」
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