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最後のトーストにバターを塗りたくりながらこの屋敷について考えてみる。偏見というものを拭い去り、どんなに公平に見ようとしても、この屋敷はどこかおかしい。現実的に考えれば存在しないだろう吸血鬼や、あくまで儀式と称された性行為。この家は、おかしい。
考えれば考えるほど、頭が痛くなり、食欲が異常に消え失せる。
「…ご馳走様」
「…あ、はい。…お口に合いませんでしたか?」
「いや。そんなことねーよ」
食後の嗜みとして、煙草に火をつける。ゆらゆらと薄い煙りが天井へと上っていくのをぼおっと見つめていた。その様子を見ていた花梨は、またもじもじとして、何か言いたそうな顔をしていた。
「……何だよ」
「もっ申し訳ありません」
「……?言いたいことがあるなら話せよ」
「…………いえっ、ほんとに何でもありませんから」
そう言って、花梨は俯いて黙りこんでしまった。…女ってたまにわからない。
(…、そろそろ部屋に戻るか)
海夜に会うのは夕方にしよう。昼頃に起きてきて不機嫌だったらまた面倒だ。
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