私とゆう人は (1変)

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かさかさと枯れた葉が冷たい夜風に吹かれて音をたてている。街灯の下にはうつむく女とそれを静かに見つめる男がいる。女は深呼吸を一つすると長い髪を耳にかけ、ゆっくりと顔をあげた。 “もう、終わりね。” ひゅうと吹く風に女は縮こまり身体をさすった。静かだった男がやっと口を開いた。 “お前が俺の気持ちを考えた事は一度もなかった。” “そんな事はないわ。” “ならどうして…” “疲れてしまったのよ。貴方の気持ちに応える事に。” かさかさという音が再び聞こえてくる。男は何か言いた気な面持ちだが口は閉じたまま開かない。 “今までありがとう。” 枯葉の音を消したのは女だった。女はにっこり笑うとくるりと向きを変え、その言葉を置いて去った。髪が軽やかに揺れる女の後ろ姿を見て、男は街灯の下から姿を消した。
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