はじめに。

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乳白色の影が私を見つめている。 熱を帯びた空気と人工的な薔薇の香りがぼんやりともう一人のワタシを見せた。 湯面に浮かんでいるワタシを見つめると不思議な程に柔らかな暖かさが身体に絡みついてくる。 吸い込まれるように生まれたままの姿を更に沈めれば、流れ込んでくるもう一人のワタシ。 ワタシは私であって、互いの間には同じものが幾つもある。 けれど重なる私たちはすべてを共有している訳ではない。 ─似ているが確かな同一ではない存在。 私とワタシの関係はそれだ。 わたしという身体の中に納められている2つの私たち。 その存在に気づいたのは何時だっただろう。 これから私はワタシの記録を残していこう。 私がワタシを見つめていくために。 私がワタシという存在と遂に一つになる日のために。
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