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看護師は職人気質かも知れない。
いくら看護技術を述べた本を読んでイメージトレーニングしていても実際やってみるのとでは雲泥の差がある。
学生時代紙の上で理論を学び、実習と言う形で幾ばくか患者と触れあっていても、就職して以降のリアリティショックは半端がない。
何も出来ないことはわかっていたつもりだったが、こんなに上手くいかないものかと悔しくて情けなくて堪らなくなる。
「こんなのはね、慣れよ慣れ。数をこなせば出来るようになるからいちいちへこんでないで行くわよ」
オムツ1枚交換するにしても。
先輩の技を盗むどころかフィットさせる位置を掴めずにしっちゃかめっちゃかだし、洗ったはいいがオムツから水分を溢れさせてしまい、謝りながらのシーツ交換……
うう……
自ら仕事を増やしてしまった。
基本的に器用な方だと高を括っていたせいか、ダメージも倍ドンだ。
「よくある、よくある」
気にするな、次に生かせと七瀬は朗らかに笑い飛ばし、落ち込む彰の背を叩く。
「でも命預かってるんだから、それだけは忘れないでね?患者様には最小限の負担で最大限のケアをしなきゃ。私たちはプロなんだから」
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