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彰もとりあえず待っている間突っ立っているのは申し訳なくて七瀬に言われるがままに運ばれてきた患者に心電図モニターを装着し、血圧を測る。
……おっと測れない。
っていうか、さっきまで喋ってたけど、眼球上転してませんか?
脈拍数は……下がってる。
「先生!」
「はい、はーい。状況を端的に教えてねー」
あえてなのか緊張感のない口調で応じる医師。
彰の声に研修医が駆けつける。
「山田さん!山田さん!わかりますか!」
反応なし。
「見た目外傷なかったのですが、頭痛の訴えがあり、こちらに運ばれてきた方です。GCS1-1-1、瞳孔左5㎜の散大右2㎜……脳幹圧迫されているのか呼吸抑制来てます。血圧測れません。鼠径は辛うじて触れます……急性硬膜下血腫ですかね」
「手空いてるやつライン取れ。CT優先的の撮らせろ。西、お前は脳外科コンサルトしろ。それと一応オペ場押さえとけ」
「はい」
彰はわたわたしながらも七瀬に言われるがままに挿管の準備をする。
「御家族さんいるかな?」
「御本人の携帯をかけたのですが家族は奥様だけで……今回一緒に事故に遭われて東生駒病院で手術中らしいです」
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