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「うーん」
陰陽寮で昌浩は唸っていた。
性は安部。
祖父は希代の陰陽師、安部晴明である。
その後継者の昌浩は起きてからずっと唸っていた。
「どうした?昌浩」
聞いてきたのは物の怪だ。
大きな猫のような体格に白い毛並み。
長い耳。
丸い瞳は透き通るような夕焼けの色で、同じ色の勾玉のような突起が首周りを一巡している。
物の怪のもっくんである。
「なんか夢見たんだけどさぁ」
「ほぉ」
物の怪がきちんとおすわりして昌浩を見た。
陰陽師の夢は必ず意味があるからだ。
「なんか嫌な夢で・・・恋人二人がころされたんだ」
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