一章 ~想いを胸にしまい込め~

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「うーん」 陰陽寮で昌浩は唸っていた。 性は安部。 祖父は希代の陰陽師、安部晴明である。 その後継者の昌浩は起きてからずっと唸っていた。 「どうした?昌浩」 聞いてきたのは物の怪だ。 大きな猫のような体格に白い毛並み。 長い耳。 丸い瞳は透き通るような夕焼けの色で、同じ色の勾玉のような突起が首周りを一巡している。 物の怪のもっくんである。 「なんか夢見たんだけどさぁ」 「ほぉ」 物の怪がきちんとおすわりして昌浩を見た。 陰陽師の夢は必ず意味があるからだ。 「なんか嫌な夢で・・・恋人二人がころされたんだ」
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