いないいないばあ

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空がピカっと光り、その後に、凄まじい爆風が、公園を襲いました。 たっちゃんは、咄嗟にしゃがんで頭を抱えました。 ゆいちゃんは、吹き飛ばされないように、お兄ちゃんのシャツを、ギュッと掴みました。 閑話休題、ここまで来て、僕は再度、確認する。 君たちは、この類の物語を、幾度となく読んでいながら、未だ何も改めない。 物語はこれから、胸打つ佳境に入る。 約束しよう。 君たちは、必ず感動する。 僕はそのために、たっちゃん、ゆいちゃんに命を吹き込んだんだ。 だから、だから、分かって欲しい。 国は政府は、この類の話を黙認し、教科書にまで出しながら、また繰り返そうとしているのだ したり顔して「いい話だ」など言いながら、明日には君たちに死ねと言う。 それが社会だ。 これは取引だ。 僕は君たちに感動をあげよう。 だから、ね。僕にもう少し君たちを信じさせて欲しい。 重ね重ね言う。 明日にはもう忘れてるなんてこと、ないように。 コンクリートの壁は、二人を爆風から守ってくれたのです。 たっちゃんは、ゆいちゃんは、ずいぶん長いことしゃがんでましたが、やがて爆風が止むと、ゆっくり立ち上がり、お父さんを探しました。
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