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3.13
翌朝目が覚めると日課になりつつある石油コンビナートの炎上具合を見に行く
当然のように黒煙で空を汚していた
…とそこに先輩母がやってきた
朝の挨拶を交わした後、先輩母が話し始めた…
『今回の地震で息子と二人でなかったことにホントに感謝してるわ。私も病院に通ってるくらい足腰悪いし、息子はあの通りでしょ。アトさんがいなかったらきっと息子は自暴自棄になって私でも手が付けられなかったはず…。アトさんがいてくれてホント感謝してるわ』
…一瞬言葉を失った
『いえ、逆にこんな状況で図々しくお世話になって…、貴重な食料もガツガツ消費して…。お礼を言うのは俺の方ですよ』
『停電で冷蔵庫の中身が腐る前に処分しなければいけないから、それを手伝ってもらってるから気にしないで。お願いできるのならばご両親に無事を知らせた後、ここにいられるなら息子のそばにいて欲しいわ…。』
『まず親に無事を知らせてから考えましょう。携帯さえ充電できればなんとかなるでしょうから。』
『そうね、とりあえずご飯の用意してくるわね』
と言い残し先輩母は台所へ消えていった
俺も部屋に戻りタバコに火を付けラジオに耳を傾けた
昨日までは地震、津波、安否確認の内容ばかり流していたラジオは原発のニュースのみに切り替わっていた
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