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――カランコロン
いつもの時間にいつもの席に俺は座る。
結局、悩みに悩んだ末に今に至る。
「いらっしゃいませ。
コレと……約束の社員証です。
ここ何日か来られないから心配したんですよ?
お仕事、忙しかったんですか?」
「まぁ……はい」
まさか貴方に振られたからだとは言えない。
「……そうですか」
いつもと変わらずカチャカチャと閉店準備をしている。
そんな事さえ懐かしく感じる。
コースターの裏に書いた俺の気持ち。
結局は気付いてもらえなかったが……。
川島さんの隙を見て、何気なくコースターをひっくり返した。
…………えっ?
…………まさか
…………嘘だ
川島さんを見ると、いつの間にか片付けを終えて、俺を見て笑っていた。
その笑顔が嘘じゃないと、俺に確信させるには充分な要素だった。
「それが私からの返事です。
……もう、遅いですか?」
「……川島さん」
だって、コースターの裏に《私もです》なんて……。
…………反則ですよ?
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