田宮 亮(タミヤ リョウ)

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カウンターにアイス珈琲2杯分のお金を置き、俺は席を立った。 「話しを聞いてもらい有り難うございました」 「お役に立てたか分かりませんがね」 「いえ、マスターのお掛けで決心が付きました。 有り難うございます……」 おれはそう言って深々と頭を下げた。 マスターは、頑張って下さいね、とニコリと笑った。 この瞬間、俺は確信した。 ――この恋は“終わった”と……。 「じゃあ、また来ます」 「お待ちしてます。有り難うございました」 俺はマスターに背を向けて店を出た。 そして外から店を眺める。 この店もマスターも偶然が重なって出逢えた。 今はその奇跡にも近い偶然に、終わった恋でも、マスターに出逢えた事に感謝している。 この店に来るのもあと数回だと思うと、名残惜しいく、中々、家へ帰る事が出来ず、結局は店の電気が消えるまで、少し離れた所で店を見ていた。 そしてマスターが店から出て行くのを確認してから、マスターとは逆方向の自宅へと足を進めた。 .
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