闇の華、再び

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アリアスはそういうと目を閉じてイクスに魔力を込め始めた。 「神殺の力を持つ剣(つるぎ)よ、我が力、我が姿、我が不死の定(さだ)めを我が意思をもって封ずる楔(くさび)となれ DOZE WEDGE《微睡(まどろみ)の楔(くさび)》」 アリアスが呪文を唱えるとイクスは輝き始め、小さな光の球体になってアリアスの左腕に消えていった。そして、アリアスの左腕には鎖が巻きつき、羽が付いた十字架の絵柄が浮き出てきた。十字架の絵が浮き出てきた途端アリアスは光に包まれ、光がおさまった時にはとユーリの時の姿に戻っていた。 「これで大丈夫だ」 『いったい何がどうなったんだ?』 「今回は記憶などが封印されないように指定したものだけを封印するようにしたんだ。しかも、呪文がなくても私の意思だけで封印を解いたりかけ直したりが出来る」 『へぇー、すごいな。それで具体的には何を封印したんだ?』 「時属性と神の状態の時の魔力と不死の力と神の状態の姿だ」 『結構封印したな。まぁ、それでももうすぐ世界神になれる神クラスで漸く勝てるってレベルの強さだけどな。でも、何で時属性は封印したのに神属性は封印しなかったんだ?』 神属性とは世界神しか持っていない空間属性と創造属性の二つの属性をまとめた呼び方である。時属性はアリアスしか持っていないために含まれていない。 「これ以上魔力を封印するとイクスの封印を安定させることが出来ないから仕方が無いんだ。でも、新しく魔法を創れるほどの魔力はないし、今までのオリジナル魔法も神の状態の時に創ったものだからレベルの高いものばかりでほとんど使えないし、言霊だって使えないからこれでもかなり弱くなったぞ。空間属性は好きな物を好きな時に空間から出し入れ出来るし、創造属性は服や装飾品なんかを創り出せるからあった方が生活していくうえで便利なんだよ」 『アリアスにとっては神属性ですら生活を楽にする道具みたいなもんなんだな・・・』 自分とアリアスの神属性への考え方の違いに格の差を思い知らされた様な気がして落ち込むカイロス。 .
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