第四章『変わり続けるもの』

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 結局、美紀姫様に捕まり鉄建制裁を受けた俺は頭に野球の球くらいのたんこぶが出来ていた。割と痛いんだ、これが。  それはともかく。現在俺達は学校から大分離れ、学校から最寄駅へ続く坂を下っていた。ここからではもう学校は見えない。  正直心配ではあったが、松堂と海神以外にも頼りになる奴は沢山いる。考えるだけ無駄かもしれないな。  さて、あっちはあっちとして…俺達は俺達でこれからの対策、というか改めて自分達の戦力について話す所だった。  あのケルベロスとの戦い(と呼べるかは分からないが)で、俺達はいかに戦力が大事なのかを学んだ。そして、美紀達はそれぞれに練習をしていたらしいのだ。  これからの戦いの為にも、自分達の能力ぐらいは把握しなければならないという訳だ。ま、大体は美紀の受け売りだが。 「…アースビーストのケルベロンか」 「砂穂梨、ケロベロスな」 「迅、マジカルケルルン・あなたに変わって虐殺よ☆ な」 「どこの魔法少女だ。というか一応敵の名前ぐらい覚えとけ。ちなみに、ケルベロスね」  とりあえず軽い冗談で和ませようとした俺と迅と砂穂梨に、美紀が頭を押さえてツッコミを入れた。うん、それでこそツッコミ担当だ。 「とにかく話を戻すわよ。現時点あたし達の能力についてだけど、皆どんな感じ?」 「俺は炎のコントロールと火に対して耐性が出来ましたー。それ以外は特に変わりないでーす」  まぁ、ひとえにコントロールって言っても身体の各部に炎を集中させることが出来るぐらいだが。  ちなみに、学校で療養中の時にちょっとリハビリ代わりに色々やってたら出来ることに気付いた。俺、なんて天才なのかしら。  耐性については、カラスと戦った時に炎を集中させれば対抗できるので若干意味が違う気がするが…細かいことはきにしないでおこう。 「俺は、手に持ったものを濡らさなくても電気を纏わせられそうなんだよな。結構集中力がいるけど」  そう言って、迅は肩に掛けていた竹刀入れの袋(?)から木刀を一本抜いた。  ここはあえて言うが……あの『戦い』から迅は木刀を武器にしたいらしく、戦いで使っていた木刀と、松堂に頼んで学校から貰ってきた木刀の2本を持つようになった。
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